
「今年の紫陽花、どこで見ようか」
そんな会話がぽつぽつと聞こえてきそうな6月。
私は秩父・皆野の境にある「蓑山(美の山)」(みのやま)へ向かった。紫陽花の名所として知られ、見頃は例年6月中旬から7月中旬。約4000株もの紫陽花が山の斜面を覆い尽くす。
今回は、軽いハイキングとして親鼻駅から蓑山を登り、和銅黒谷駅へ下るコース。標高586.9mと登りやすい山だが、だからこそ足元の変化や花の移ろいに目を配る余裕が生まれる。そんな、ゆったりとした山行を楽しみにしていた。
「田舎うどん」とコーヒー牛乳で始まる登山


秩父鉄道・親鼻駅に到着。駅前から徒歩10分ほどの「道の駅みなの」の レストハウスでまずは腹ごしらえ。
注文したのは、地元感たっぷりの手打ち「田舎うどん」。
そして――思わず笑ってしまうほど美味しかったのが秩父のご当地牛乳「戸田乳業」のコーヒー牛乳。さらりと喉をすべり落ちていった。れだけで、今日がいい日になる予感がした。
紫陽花に導かれる道|ぬかるみの先に

親鼻駅(10分)→道の駅みなの(1時間40分)→蓑山(美の山)(1時間20分)→和銅黒谷駅
雨上がりの登山道はややぬかるんでいたが、道そのものは整備されていて歩きやすい。足元を気にしながらゆっくりと進む。やがて、ぽつぽつと咲き始める紫陽花の姿が目に入る。
登るにつれてそれが斜面いっぱいに広がり、思わず足を止めた。

美の山公園の紫陽花園――
そこはまさに、紫陽花の庭園。
青や紫、ピンクが織りなすグラデーションが広がっていた。



展望台からの景色と、ひっそりとした山頂

美の山公園には立派な展望台があり、登ってみると秩父の象徴・武甲山が正面に見えた。
あの山の存在感は別格で、秩父の欠かせない景色の一部になっている。

車でもここまで来られるため、紫陽花だけを見に来た観光客も多い。けれど、歩いてきたからこそ味わえる空気というものがあると思う。

山頂へは展望台から西側へ5分ほど歩いた先。展望はないが、その静けさは花々のにぎわいと良い対比をなしていた。
「福松ガレット」で冷たいご褒美

下山後、和銅黒谷駅へ向かう途中で「聖神社」を通りかかる。
その向かいにあったのが、一軒家を改装したカフェ「福松ガレット」。
まるで私を待っていたかのように店主と目が合い、導かれるようにテラス席へ。

ここで注文したのは、朝摘みの生ブルーベリーをのせたかき氷。
梅雨の蒸し暑さの中で、この冷たさと甘酸っぱさは魔法のようだった。
ガレットも気になったが、次回の楽しみにとっておこう。
紫陽花を見たいなら、街だけじゃなく山もおすすめ。梅雨の晴れ間、気軽なハイキング気分で、出かけてみては?
【アクセス情報】
- 蓑山(美の山):秩父鉄道 親鼻駅から徒歩で約1時間40分。車でのアクセス可能。
コメント